東京大学理学部物理学科・大学院理学系研究科物理学専攻
目的別メニュー 一般情報 物理学科進学案内 大学院入学案内 内部向け情報 サイトマップ

理学部物理学科への進学を考えている学生の皆さんへ

物理学科学科長

宮下 精二

 物理学は、自然の仕組みに対する最善の理解とは何かを追究していく学問です。この世の中がどのような仕組みになっているのか、たとえば、物質は何からできているのか、宇宙の果てはどうなっているのか、生死とは何かなどは人類の普遍の関心事です。特に、個別の現象の観測に留まらず、その背後にある普遍性への探究が続けられてきました。そこでは、自然に真摯に向きあいその背後にある原理への何物にも縛られない自由な洞察と、そこから導出される多様な現象への理解における数学的厳密さとが両輪となります。その結果得られた世界を貫く法則の体系は、古代のてこの原理に始まり、ニュートン力学、電磁気学、熱力学そして現代物理学と呼ばれる相対論、量子力学、統計力学、複雑系物理学という形にまとめられてきました。物理学の主要な目的は、知られていない普遍的な仕組みを明らかにすることであり、必ずしも直接的な対象自身が人々の役に立つことをめざしているわけではありません。しかし、正確な原理の理解は、知識を能動的なものとし、力学においては人類の月への到達、電磁気学では携帯電話やリモコンなどの魔法のような機器の実現、さらに、集団運動の普遍性への理解からは熱力学で導入されたエントロピーなる考え方が情報という量として、新しい自然現象の理解に役立ってきています。
 物理学の立場で真摯に自然に向きあうには、これまでどのようなことが知られているのかを学び、その能動的な活用ができるようにならなくてはなりません。まずはそのための修行が必要となります。そこで物理学科では皆さんに、現在受け入れられている原理としての、量子力学、電磁気学、統計力学などを徹底的に学んでいただきます。そして、それらが実際にどのように現れるかを実験によって実体験してもらいます。また、これらの基礎的な物理学の習得とは相補的に、研究のフロンティアに触れる機会として、最新のテーマを学生向けに講演してもらう物理学コロキウムなどを開催しています。3年冬学期の物理学ゼミナールは、少人数で先生を囲み、先端的なテーマに触れる良いチャンスです。さらに4年生特別実験・理論演習では、他学科が行っている卒業研究と同等の深い研究実体験がなされます。皆さんは、このような充実した物理学科における2年間の教育プログラムを通じて、卒業する頃には、現在人類が手にしている知識の基礎部分を会得しているはずです。そして、さらに大学院に進学すれば、そのフロンティアを実際に自ら推進する経験へと進むことになります。このような物理学的な思考法を身につける事は、決して狭い意味での研究職のみならず、より広い社会の様々な分野において本質的であることも強調しておきたいと思います。実際、企業、政治、行政、司法などの、直接物理学とは関係しないと思われる分野で、物理学科の学部あるいは大学院を終えた先輩達が大活躍しています。
 物理学科には70名近くの教員が在籍し、現代物理学の広範な分野をカバーしています。現象を数少ない原理から考え抜くという姿勢のもと、異なる分野を探究している物理学教室メンバーは、一体として新たな物理学を開拓すべく協力して活動を進めています。皆、「我々こそは新しい物理の展開を切り開くフロンティアを担っている」という意気込みを持って物理に取り組んでいます。私たちとともにさらなる一歩をめざす新たな仲間として、皆さんが物理学科に進学してくれることを心待ちにしています。

理学系研究科物理学専攻長
理学部物理学科長
宮下 精二