非平衡・プラズマ

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(理学部HP)
研究テーマ
佐野研 home01-02 person 非線形・非平衡系の物理学
高瀬研 home01-02 person 高温プラズマ物理と核融合への応用

熱力学や統計力学は、熱平衡にある系の法則を明らかにしましたが、エネルギーや物質の流入流出がある非平衡系の一般的な法則は殆どと言ってよいほど分かっていません。宇宙の構造形成、宇宙プラズマやオーロラの自己組織化、大気や地球内部の流動現象、コーヒーカップの中の混合現象、粘性流体の中を泳ぐバクテリア、我々の細胞の一つ一つで絶えず進行する化学反応と分子の動き、超流動中の量子渦の作る乱流構造など、マクロからミクロまであらゆる局面で非平衡現象により形成され維持される時空間ダイナミクスが見出されます。流体やプラズマは、そのような自己組織化や集団運動、不安定現象の宝庫であり、非平衡系を研究するのに最適な題材であると言えます。非平衡系の理解と制御方法を進展させることは、物理学の基礎として重要であるとともに、核融合プラズマなどの研究にも避けて通れない課題です。

佐野研究室
佐野研究室では、非平衡・非線形系の物理学を主要テーマに研究を行っています。非平衡系の研究を大きく、マクロ非平衡系とミクロ非平衡系に分けて説明しましょう。殆どの非平衡系では平衡から離れるに従い、次々と状態の転移を繰り返す現象が観測されます。初期に空間的に一様等方な系では、対称性を破って空間周期構造が現れ、さらに平衡から離れると時間並進対称性を破るリミットサイクル振動、時間反転対称性を破るカオスへと転移していきます。また自由度の大きな系では、時空間欠性や乱流の発生に至り、統計的な意味での空間的対称性が回復されます。これらの転移現象の分類とカオスや乱流の統計的性質や対称性の変化はまだその全貌が解明されておらず、複雑な自然現象を理解するためには、その本質的な理解が不可欠です。そのため、流体やソフトマター、粉体などを用いて典型的な非平衡の実験系を構築し、実験と理論の両面から研究を行っています。ミクロの非平衡とは、熱ゆらぎが無視できないミクロ系における非平衡現象のことであり、ナノテクノロジーや生命現象を扱う上で重要な概念と考えています。最近、このようなミクロの非平衡系に関して統計力学の新たな法則が相次いで発見され注目を集めています。これらの新しい法則の検証実験やミクロ非平衡系における興味深い現象を実験的に実現して解析を行っています。具体的には、レーザーピンセットやAFM、微小流路を用いて非平衡条件を作り出し、物理系や生物系における非平衡系のダイナミクスとゆらぎの解析を行っています。
 
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非平衡相転移の普遍性(液晶の乱流―乱流転移の時空プロット)
 
高瀬研究室
プラズマは荷電粒子が電磁相互作用により複雑に影響を及ぼしあう多体系で、 非線形複雑系・遠非平衡系の典型例です。プラズマ状態は、外部から熱や粒 子を供給し、これらがプラズマ中で輸送され、外部に失われていくというダイ ナミックな系で、熱平衡からは遠い状態にあります。高温プラズマでは散逸が 小さく、非線形性が顕著に現われるため、乱流状態が生成され、異なる乱流状 態間で遷移したり、自ら構造を形成します。また温度・密度勾配により熱・ 粒子が輸送されるだけでなく、プラズマ全体の流れや電流なども駆動されます。 そして強い勾配をもつ流れが生じると乱流が抑制され、輸送も軽減されます。 現在、このような現象を説明できる理論が確立されつつあり、実験的にも プラズマ中の電場や流れの制御により、損失の極めて小さいプラズマを実現 することが可能となり、核融合反応の起こる1億度以上の超高温プラズマも 得られています。高温プラズマは熱輸送・粒子輸送・電流拡散などが互いに 絡み合った、自律性の極めて高い複雑系で、新たな研究領域の創成に貢献して います。高瀬・江尻研究室では、柏キャンパスにあるTST-2球状トカマクを 用い、高温プラズマの安定性、プラズマ波動を用いた加熱や電流駆動、熱・ 粒子輸送過程の解明およびその制御等の研究を行いつつ、国内外の大型装置 を使ったプラズマの高性能化、自己組織化、電流駆動等の共同研究を活用し、 世界のリーダーとなる研究者の育成を目指しています。
 
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球状トカマクプラズマおよび典型的な磁力線
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