非平衡・プラズマ
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研究テーマ |
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竹内研 | ![]() |
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非平衡統計力学、ソフトマター、アクティブマター、生物物理学 |
江尻研 | ![]() |
プラズマ物理学 |
熱力学や統計力学は、熱平衡にある系の法則を明らかにしましたが、エネルギーや物質の流入流出がある非平衡系の一般的な法則は殆どと言ってよいほど分かっていません。宇宙の構造形成、宇宙プラズマやオーロラの自己組織化、大気や地球内部の流動現象、コーヒーカップの中の混合現象、粘性流体の中を泳ぐバクテリア、我々の細胞の一つ一つで絶えず進行する化学反応と分子の動き、超流動中の量子渦の作る乱流構造など、マクロからミクロまであらゆる局面で非平衡現象により形成され維持される時空間ダイナミクスが見出されます。流体やプラズマは、そのような自己組織化や集団運動、不安定現象の宝庫であり、非平衡系を研究するのに最適な題材であると言えます。非平衡系の理解と制御方法を進展させることは、物理学の基礎として重要であるとともに、核融合プラズマなどの研究にも避けて通れない課題です。
高瀬研究室
プラズマは荷電粒子が電磁相互作用により複雑に影響を及ぼしあう多体系で、 非線形複雑系・遠非平衡系の典型例です。プラズマ状態は、外部から熱や粒 子を供給し、これらがプラズマ中で輸送され、外部に失われていくというダイ ナミックな系で、熱平衡からは遠い状態にあります。高温プラズマでは散逸が 小さく、非線形性が顕著に現われるため、乱流状態が生成され、異なる乱流状 態間で遷移したり、自ら構造を形成します。また温度・密度勾配により熱・ 粒子が輸送されるだけでなく、プラズマ全体の流れや電流なども駆動されます。 そして強い勾配をもつ流れが生じると乱流が抑制され、輸送も軽減されます。 現在、このような現象を説明できる理論が確立されつつあり、実験的にも プラズマ中の電場や流れの制御により、損失の極めて小さいプラズマを実現 することが可能となり、核融合反応の起こる1億度以上の超高温プラズマも 得られています。高温プラズマは熱輸送・粒子輸送・電流拡散などが互いに 絡み合った、自律性の極めて高い複雑系で、新たな研究領域の創成に貢献して います。高瀬・江尻研究室では、柏キャンパスにあるTST-2球状トカマクを 用い、高温プラズマの安定性、プラズマ波動を用いた加熱や電流駆動、熱・ 粒子輸送過程の解明およびその制御等の研究を行いつつ、国内外の大型装置 を使ったプラズマの高性能化、自己組織化、電流駆動等の共同研究を活用し、 世界のリーダーとなる研究者の育成を目指しています。

竹内研究室
竹内研究室では、非平衡現象が織りなす統計物理法則の理解を目指し、液晶、粉体、コロイドなどのソフトマター、バクテリアなどの生命材料を活用して、実験研究を展開しています。個別の現象の理解はもとより、現象に依らない共通の物理法則を抽出することを目指して、特定の手法や対象にこだわらずに実験をデザインし、実現、解析することで、非平衡の統計物理法則に迫っていきます。俯瞰的に物事を捉えること、学際的な視点を育むことを重視し、研究室の中でも比較的多彩な問題を扱っているのが特徴です。現在の主なテーマは、非平衡臨界現象、非平衡現象におけるミクロとマクロの橋渡し、アクティブマター、微生物集団の物理学、大自由度力学系の協同現象などですが、これらをまたぐ課題も多く、有機的に繋がっています。また、新たな題材への取り組みも積極的に行っています。このような研究を通して、統計物理学の実験分野という、世界でも特徴的な分野の開拓を志しています。詳しい研究内容は、研究室ウェブページをご覧ください。
