非平衡・プラズマ
熱力学や統計力学は、熱平衡にある系の法則を明らかにしましたが、エネルギーや物質の流入流出がある非平衡系の一般的な法則は殆どと言ってよいほど分かっていません。宇宙の構造形成、宇宙プラズマやオーロラの自己組織化、大気や地球内部の流動現象、コーヒーカップの中の混合現象、粘性流体の中を泳ぐバクテリア、我々の細胞の一つ一つで絶えず進行する化学反応と分子の動き、超流動中の量子渦の作る乱流構造など、マクロからミクロまであらゆる局面で非平衡現象により形成され維持される時空間ダイナミクスが見出されます。流体やプラズマは、そのような自己組織化や集団運動、不安定現象の宝庫であり、非平衡系を研究するのに最適な題材であると言えます。非平衡系の理解と制御方法を進展させることは、物理学の基礎として重要であるとともに、核融合プラズマなどの研究にも避けて通れない課題です。
竹内研究室
竹内研究室では、非平衡現象が織りなす統計物理法則の理解を目指し、液晶、粉体、コロイドなどのソフトマター、バクテリアなどの生命材料を活用して、実験研究を展開しています。個別の現象の理解はもとより、現象に依らない共通の物理法則を抽出することを目指して、特定の手法や対象にこだわらずに実験をデザインし、実現、解析することで、非平衡の統計物理法則に迫っていきます。俯瞰的に物事を捉えること、学際的な視点を育むことを重視し、研究室の中でも比較的多彩な問題を扱っているのが特徴です。現在の主なテーマは、非平衡臨界現象、非平衡現象におけるミクロとマクロの橋渡し、アクティブマター、微生物集団の物理学、大自由度力学系の協同現象などですが、これらをまたぐ課題も多く、有機的に繋がっています。また、新たな題材への取り組みも積極的に行っています。このような研究を通して、統計物理学の実験分野という、世界でも特徴的な分野の開拓を志しています。詳しい研究内容は、研究室ウェブページをご覧ください。