素粒子理論

研究室研究者紹介研究テーマ
諸井研究室諸井 健夫 教授素粒子論・宇宙論 
松尾研究室松尾 泰 教授超弦理論
濱口研究室濱口 幸一 准教授現象論・宇宙論

素粒子理論では、「物質の根元とは何か」という根元的な問いに向けて、 研究を進めています。よく知られているようにすべての物質は分子で 構成されており、その分子はさらに原子に分解され、その原子も原子核と 電子に分解されることが知られています。原子核はさらに陽子と中性子に 分解できるのですが、素粒子理論で研究されているものは、その陽子や 中性子がさらにどのように分解されているかということです。現在では最も 基本的な構成要素としてクォークと、レプトンという名前で総称される電子や ニュートリノがあると考えられています。

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またこの段階になりますと、物質とその物質の間に働く力を区別することは、 あまり意味がなくなります。現在4つのタイプの力が自然界には存在していることが わかっています。つまり普段我々が感じることができる「電磁気力」「重力」と 原子核のスケールで初めてその存在が見えてくる「強い相互作用」と「弱い相互作用」と 呼ばれるものです。力が物質と区別が付かなくなるというのは、物質間に働く力自身ある 種の粒子を仲介することにより伝わっていると考えられているからです。たとえば 電磁気力の場合我々の感じる光の元になっている光子を仲介して力が伝わっています。 この電磁気力の理論の構築において、朝永博士らのくりこみ理論が基本的な役割を 果たしていたのは有名なことです。

1960年代には現在の標準模型、つまり電磁気力と弱い相互作用を統一する 「電弱統一理論」、強い力を統一する「量子色理論 (QCD)」、さらに アインシュタインが発見した「重力理論」が確立しました。これらの理論に 共通することはそれらが全てゲージ対称性と呼ばれる局所的な「対称性」に 基づいていることにあります。この標準模型は実験と非常によくあい、 素粒子論の大変大きな成果になっています。

現在ではこの基礎をふまえて、さらなる高エネルギー領域におけるこれらの 理論の統一が目指されています。たとえば電弱統一理論と量子色理論を統合する 大統一理論などです。ただその際、単なる力の統一を目指すだけではなく、 新しいタイプの対称性を導入することが重要なのではないかと思われています。 その代表的なものとして「超対称性」があります。

素粒子は統計性の違いによりフェルミオンとボソンに分けられます。 物質の構成要素になっているクォークやレプトンはフェルミオン、 力の仲介を行うゲージ粒子はボソンです。超対称性とはフェルミオンとボソンの間の対称性です。 このように統計性の異なる粒子の間の対称性を考えることは理論的な一つの冒険です。 しかしこの対称性を仮定することにより、場の量子論の発散の問題が解決されるなど 理論的な観点からみると、魅力が大きい対称性です。

現在では、超対称性を用いて重力理論とそのほか全ての相互作用の統一を目指す 「超弦理論」 が非常に活発に研究されています。この理論においては物質や力は単なる 点粒子ではなく、 広がりを持った弦であると考えます。広がりを持たせることにより、 重力理論が本質的に 抱える発散の問題を解決しており、素粒子の統一理論の非常に有力な候補と考えられています。 この10年あまり超弦理論には著しい発展があり、特に懸案であったブラックホールの 量子論的な取り扱いに一部成功しました。今後、宇宙の創成やブラックホールの物理に 関する多くの謎の解明に貢献する事が期待されます。

素粒子論研究室では、超弦理論の研究を松尾泰が、超対称性をもつ理論や大統一理論など素粒子現象論の研究を諸井健夫・濱口幸一が担当し、活発な研究活動を行っています。

 

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