電流による反強磁性体の超高速磁化スイッチングを時間分解イメージング測定で可視化

研究成果 2025/12/09

東京大学大学院理学系研究科の小川和馬大学院生、Tsai Hanshen特任助教、中辻知教授(物性研究所・トランススケール量子科学国際連携研究機構兼任)、同大学低温科学研究センターの島野亮教授(大学院理学系研究科・ランススケール量子科学国際連携研究機構兼任)らのグループは、ワイル半金属として知られるノンコリニア反強磁性体n₃Sn薄膜(マンガン(Mn)とスズ(Sn)から成る薄膜)を対象に、100ピコ秒(ps、ピコは1兆分の1)級の短い電流パルスによって誘起される磁化反転のダイナミクスの機構を時間分解磁気光学カー効果イメージングによって明らかにしました。

時間分解観測の結果、磁化反転の過程が電流密度によって大きく異なることが判明しました。高電流密度ではジュール熱(導体に電流を通した際に生じる熱)による反強磁性の秩序の融解を介した熱的反転が支配的である一方、低電流密度では磁気秩序を維持したままスピン軌道トルクにより駆動される高速な非熱的反転を観測することに成功しました。本成果は、高周波のテラヘルツ帯で動作するメモリやロジック素子など、反強磁性体の超高速スピントロニクスへの応用に向けて有用な指針を与えます。

詳細については、以下をご参照ください。

  • 理学系研究科 プレスリリース:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/10998/
  • 論文URL:https://www.nature.com/articles/s41563-025-02402-8
  • 中辻研究室:https://nakatsuji-lab.phys.s.u-tokyo.ac.jp/
  • 島野研究室:https://thz.phys.s.u-tokyo.ac.jp/index.html
関連リンク : 2025年度 物性実験(A4)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加