追悼:有馬朗人名誉教授

有馬朗人先生ご逝去の報に接して

東京大学名誉教授で元総長の有馬朗人先生が、12月6日にご逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。

有馬先生は東大の物理学科(旧制)をご卒業後、原子核研究所の助手、米国のアルゴンヌ国立研究所研究員を経て、1960年から物理学教室で教鞭をとられました。1989年から1993年まで総長を勤められてご退職されたあとは、理化学研究所理事長、文部大臣、科学技術庁長官などの要職を歴任されました。ご専門は原子核物理学の理論研究で、原子核殻模型における有馬-堀江の配位混合理論や原子核の集団運動に関する理論など、黎明期だったこの分野を切り拓き、日本学士院賞、文化勲章、アメリカ物理学会ボナー賞、仏レジオン・ドヌール勲章など、数々の名誉ある賞を受賞されています。一方で、蛇笏賞を受賞されるほどの優れた俳人でもありました。

2019年秋に開催された理学系研究科名誉教授の会では、三十数年前に受講した原子核理論の講義そのままに、炯々たる眼光と大きな声で、日本の物理学の将来のため今何をすべきかを熱く語っていらっしゃいました。日本の物理学を築いた巨星が、また一つ失われました。心よりご冥福をお祈りいたします。

2020年12月8日
物理学専攻長・学科長
常行真司

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