弱い磁場で生成・制御可能な磁気渦を “トポロジカル原子層サンドイッチ構造”で発見

研究成果 2022/01/25

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の高城拓也大学院生、秋山了太助教、長谷川修司教授、および東京工業大学理学院物理学系の平原徹准教授らのグループは、物質・材料研究機構の佐々木泰祐主幹研究員およびロシア科学アカデミーのA. A. Saranin教授らとの国際共同研究で、スピン(ミクロな磁石の性質)を持つマンガン原子が規則的に密に並んだ単一原子層を含むトポロジカル強磁性体Mn(Bi,Sb)2Te4を使って、トポロジカル絶縁体(Bi,Sb)2Te3原子層の上下を挟んだ“原子層サンドイッチ構造”を作製し、その電気伝導を測定しました。その結果、これまでの1/10程度の弱い磁場でトポロジカルホール効果が観測され、ミクロな磁気渦(スキルミオン)が形成されていることを発見しました。

近年、上述のような磁性原子が規則的に並んだ原子層をもつトポロジカル強磁性体が世界的に盛んに研究されていますが、この物質系におけるトポロジカル絶縁体の持つカイラルスピン構造を利用したスキルミオンの観測は本研究が初めてです。

本研究で見出されたスキルミオンは外乱があっても壊れず、弱い磁場で書き換え容易な磁気メモリへの応用などが考えられ、スピントロニクス分野への貢献も期待されます。

 

 

関連リンク : 2021年度 物性実験(A4)
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