光の波長変換を活用した超高速赤外分光法を開発

研究成果 2023/03/10

赤外分光法は、分子の振動を非破壊的に測定する分析手法であり、測定された振動分光スペクトルを通じて物質の性質を明らかにすることができます。一般的には時間変動しない物質の測定に用いられますが、高速に変化する現象や多数回の測定を要する場面では、多くの分子振動情報を迅速に得る必要があります。近年、タイムストレッチ赤外分光法(TSIR)の開発により、毎秒8000万回の超高速の赤外分光測定が可能になりましたが、赤外領域での光学技術が発展途上であるため、一度に得られる分光スペクトル点数が限られていました。

東京大学大学院理学系研究科の井手口拓郎准教授のグループは、上方変換タイムストレッチ赤外分光法を開発し、従来手法よりも30倍以上多くのスペクトル点数を得ることに成功しました。この手法では、赤外超短パルス光を近赤外領域に波長変換する仕組みを導入することで、高効率な測定が可能となりました。本手法は今後、これまで測定のできなかった高速現象の解明や、多数の試料の短時間非破壊解析に貢献することが期待されます。

詳細については、以下をご参照ください。

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