遊泳バクテリアの群れ運動がカオス的流動に至る道筋を解明
研究成果 2025/04/28
東京科学大学(Science Tokyo)* 理学院 物理学系の西口大貴准教授(研究当時:東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻助教、現:同 客員研究員)、東京大学 大学院理学系研究科の白谷空大学院生、竹内一将准教授、米国ペンシルバニア州立大学のイゴール・S・アランソン(Igor S. Aranson)教授(研究当時:東京大学 大学院理学系研究科GSGC教授 兼任)らの研究チームは、高密度の遊泳バクテリア懸濁液で見られる集団運動状態が、乱れた時空カオス的な流動を示すアクティブ乱流状態へと至る道筋を解明しました。
高密度の遊泳バクテリア懸濁液では、渦が多く存在し、時空カオス的な流動を示す集団運動状態であるアクティブ乱流が生じます。このバクテリア懸濁液を小さな円形領域内に閉じ込めると、一方向に安定して回転する定常な渦を形成します。本研究では、この円形領域の半径が大きくなるにつれてアクティブ乱流へ至る過程において、まず定常な渦が乱れるとともに渦の回転方向が周期的に反転することを発見しました。また、そうした観測結果や数値計算と解析的理論からも検証し、整合性のある結果を得ました。
本研究では、群れのカオス的な運動に幾何学的な制約を課すことで安定な渦構造へと変換し、さらにその渦構造を周期的に反転する状態へと変換する方法を解明しました。こうした理論は、バクテリア集団だけでなく、培養細胞や他の自己駆動コロイドなどの集団にも普遍的に適用できるため、新たなアクティブ流体デバイスなどの設計指針となると期待されます。
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